便秘解消におすすめの食べ物と飲み物は?快便になるための便秘解消法を紹介

「便が硬くて出しにくい…」「便意はあるのになかなか出ない…」など、便秘の症状に悩んでいる人は少なくありません。

便秘は摂取する食べ物や飲み物、日常的な対策で改善できる場合があります。

今回は、便秘解消に効く食べ物や飲み物と便秘の原因となり得る食べ物や飲み物を紹介した後、手軽にできる便秘解消方法についても詳しく解説します。

 

便秘解消に効く食べ物

便秘を解消したいときは、腸内環境を整えてくれる食べ物を取り入れるのがポイントです。

便秘解消に効く食べ物を確認してみましょう。

 

便のかさを増やして便秘解消:食物繊維

便秘解消には、食物繊維を含む食べ物を取り入れるのがおすすめです。

食物繊維は小腸で消化吸収されずに大腸まで到達するため、便を柔らかくしたり、便のかさを増やしたりして便秘を解消する効果が期待できます。

食物繊維は「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」に分けられ、どちらも便秘解消に役立つ働きを持っています。

 

【水溶性食物繊維】

種類
  • ペクチン
  • アルギン酸
  • グルコマンナン
  • 難消化性デキストリン
主な働き
  • 水に溶けてゲル状になり、便を柔らかくして排出しやすくする
  • 腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やして腸内環境を整える
多く含む食品
  • 海藻類
  • 果物類
  • 大麦
  • ネバネバ食品(モロヘイヤ、オクラなど)

 

【不溶性食物繊維】

種類
  • セルロース
  • ヘミセルロース
  • キチン
  • リグニン
主な働き
  • 水に溶けずに水分を吸収して膨らみ、便のかさを増やして腸のぜん動運動を促す
  • 腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やして腸内環境を整える
多く含む食品
  • 豆類
  • 穀類
  • 根菜類
  • 芋類
  • きのこ類

水溶性食物繊維は便を柔らかくする効果が期待でき、不溶性食物繊維には便のかさを増やして腸のぜん動運動を促す効果が期待できます。

そのため、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を含む食品をバランスよく摂取することが大切です。

通常の食事であれば、過剰摂取になることはほとんどありませんが、水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢を引き起こしたり、不溶性食物繊維を摂りすぎると便のかさが増えすぎて便秘が悪化したりすることがあります。

厚生労働省では、各栄養素をどれくらい摂取したら良いかの目安となる「食物繊維摂取目標量」を公表していますので、下記表の摂取量を大幅に超えることのないように気をつけましょう。

 

【1日あたりの食物繊維摂取目標量】

年齢男性女性
〜2歳
3~5歳8g以上8g以上
6~7歳10g以上10g以上
8~9歳11g以上11g以上
10~11歳13g以上13g以上
12~14歳17g以上17g以上
15~17歳19g以上18g以上
18~29歳21g以上18g以上
30~49歳21g以上18g以上
50~64歳21g以上18g以上
65~74歳20g以上17g以上
75歳以上20g以上17g以上

 

妊娠中の女性18g以上
授乳中の女性18g以上

出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)

 

腸内細菌を増やして便秘解消:オリゴ糖、発酵食品、乳酸菌

腸の中には大きく分けて3つの菌が棲みついています。

  • 体に良い働きをする善玉菌
  • 体に悪い働きをする悪玉菌
  • 善玉菌とも悪玉菌ともいえない日和見菌

腸内細菌の割合は「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」が理想とされていますが、便秘のときは善玉菌よりも悪玉菌が優位になっています。

そのため、腸内細菌の善玉菌を増やす働きがあるオリゴ糖を含む食品、発酵食品、乳酸菌を含む食品を摂取することが、便秘解消に役立ちます。

それぞれの特徴や食べ物を確認して、食事に取り入れてみましょう。

 

【オリゴ糖】

オリゴ糖は、腸内の善玉菌のエサとなって善玉菌を増やす働きがあります。

オリゴ糖には消化酵素によって分解されて体のエネルギー源になる「消化性」と消化されずに大腸まで届く「難消化性」の2種類が存在します。便秘解消への効果が期待できるのは胃や小腸で消化吸収されずに大腸まで届く難消化性のオリゴ糖です。

難消化性のオリゴ糖を含む食べ物は以下の通りです。

  • 玉ねぎ
  • ニンニク
  • ごぼう
  • 大豆製品
  • バナナ
  • ハチミツ
  • シロップタイプ、粉末タイプのオリゴ糖含有食品など

 

【発酵食品】

発酵食品には乳酸菌(善玉菌)が含まれており、腸内環境を整える働きがあります。

とくに、漬物や味噌、納豆など植物性の発酵食品に含まれる乳酸菌は、胃酸で死滅せずに生きて腸に届きやすいと言われています。

また、腸内の悪玉菌はアルカリ性を好んで酸性を嫌い、善玉菌は酸性を好んでアルカリ性を嫌う性質をもっています。

そのため、継続的に発酵食品を摂取すると乳酸菌(善玉菌)が産生する乳酸の作用で腸内が酸性になり、悪玉菌の増殖を抑えて善玉菌が増えやすい環境を作ることができるでしょう。

乳酸菌を含む発酵食品は以下の通りです。

  • ヨーグルト
  • チーズ
  • 漬物(ぬか漬け、キムチ、柴漬け、たくあんなど)
  • 納豆 など

 

【乳酸菌入り食品やサプリ】

乳酸菌を補いたいときは、乳酸菌入りの食品やサプリを活用する方法もあります。

乳酸菌入りの食品にはラムネ菓子やチョコレート菓子、ビスケットなどがあり、手軽に乳酸菌を補えるさまざまな商品が販売されています。

乳酸菌サプリは食事で摂取しにくいときに活用しやすいでしょう。

 

便の滑りを良くして便秘解消:脂質

脂質を摂取すると腸内の便の滑りが良くなり、スムーズに排便しやすくなります。

また、脂質には飽和脂肪酸を含むものと不飽和脂肪酸を含むものがあり、不飽和脂肪酸にはぜん動運動を促す働きがあります。

そのため、便秘解消には不飽和脂肪酸を含む脂質を適度に摂るのがおすすめです。

飽和脂肪酸は主に乳製品や肉類など動物性の脂質に含まれ、不飽和脂肪酸は主に植物や魚の脂に含まれています。

不飽和脂肪酸を含む脂質が摂取できる食べ物は以下の通りです。

  • 植物油(オリーブオイル、アマニ油、えごま油、ひまわり油など)
  • 青魚(まぐろ、いわし、かつお、さばなど)
  • ナッツ類(アーモンド、マカダミアナッツなど)

 

便秘を改善したい人におすすめの飲み物

ここでは、便秘を改善したい人におすすめの飲み物を紹介します。

 

水分量を増やす:水や白湯

十分な水分を摂取すると水分量が増えて便が柔らかくなり、便秘を解消できる場合があります。

厚生労働省によると、体重60kgの人の場合、健康を維持するには1日2.5リットルの水分量が必要とされており、そのうち飲み水による摂取量は1.2リットルとされています。

1日の水分摂取量を目安に、こまめに水分補給をしてみましょう。

便秘のときは、起床時にコップ1杯の冷たい水を飲むと、ぜん動運動を促す効果が期待できます。

また、白湯は胃腸を温めて胃腸の動きを活発にする効果が期待できるため、50℃〜60℃程度の白湯をゆっくり飲むのもおすすめです。

 

腸内環境を整える:ココア、牛乳、乳酸菌飲料、甘酒

【ココア】

ココアには不溶性食物繊維の一種である「カカオリグニン」という成分が豊富に含まれているため、腸内環境を整える効果が期待できます。

カロリーや糖質を抑えたいときは、砂糖不使用の純ココアをそのまま飲むか、甘さが欲しいときはオリゴ糖が含まれるハチミツを入れて飲むとよいでしょう。

 

【牛乳】

牛乳に含まれる乳糖は消化されずに大腸まで届くため、腸内を酸性にしたり善玉菌のエサとなったりして腸内環境を整える効果が期待できます。

また、腸内の水分を取り込んで便を柔らかくする働きや腸のぜん動運動を活発にする働きもあるため、便秘の解消に役立ちます。

ただし、牛乳を飲むと下痢を起こしてしまう人は、無理に飲まないようにしましょう。

 

【乳酸菌飲料】

乳酸菌を摂取するには、乳酸菌飲料を活用する方法もあります。

乳酸菌飲料にはさまざまな商品があり、配合されている乳酸菌の種類や数はそれぞれ異なります

自分の腸内環境に合う乳酸菌が配合されていることが重要なので、2週間程度継続して確認してみましょう

また、自分の好みの味を見つけることや毎日続けられる商品を選ぶこともポイントです。

 

【甘酒】

甘酒には、便秘解消に役立つオリゴ糖や食物繊維と似た働きをするレジスタントプロテインが含まれています。

また、甘酒の原料である麹には、グルコシルセラミドという植物性セラミドが含まれているのも特徴です。

グルコシルセラミドは腸内の炎症を抑える作用をもつ「ブラウティア・コッコイデス菌(善玉菌)」を増やす働きがあり、腸内環境を改善して腸の働きを良くする効果が期待できます。

甘酒には「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」がありますが、アルコールを含まない米麹甘酒の方が日常的に飲みやすいでしょう。

日常的に飲む場合は、1日1杯(100〜200ml)を目安にしましょう。

 

便のかさを増やす:スムージー

野菜や果物を使ったスムージーを飲むと、手軽に食物繊維を摂取できます。

液体タイプや冷凍タイプ、粉末タイプなどさまざまなスムージーが市販されているので、食事や間食に取り入れてみましょう。

手作りするときは、以下のような野菜や果物を組み合わせるのがおすすめです。

【食物繊維を含む果物】

ラズベリー、アボカド、キウイ、バナナ、マンゴー、アサイー、ブルーベリー、イチゴ、りんご、干しブドウ、パイナップル、プルーンなど

【食物繊維を含む野菜】

ごぼう、ブロッコリー、オクラ、ケール、水菜、カリフラワー、人参、ほうれん草、モロヘイヤ、パセリなど

 

便秘の原因となり得る食べ物や飲み物

便通を良くするには、便秘を引き起こしやすい食べ物や飲み物を摂りすぎないことも大切です。

ここでは、便秘の原因となり得る食べ物と飲み物を紹介します。

 

便秘の原因となり得る食べ物

【肉類】

肉類は適度な量であれば、便の滑りを良くして便秘解消に役立ちます。

ただし、食べすぎてしまうと、肉類に含まれるタンパク質が悪玉菌のエサになるため、悪玉菌が増殖して腸内環境が悪化しやすくなります。

便秘を改善するには、玉ねぎやごぼうなど善玉菌を増やす食べ物を取り入れた、栄養バランスの良い食事を意識することが大切です。

 

【インスタントフードやファストフード】

インスタントフードやファストフードを利用することが多い人は、野菜が不足することにより、食物繊維の摂取が減りがちになります。

また、「ソルビン酸」を代表とする食品添加物は、過剰に摂取すると善玉菌の繁殖を抑えてしまうため、消化吸収に影響を与えたり代謝が悪くなって便が出にくくなったりします

インスタントフードやファストフードを食べるときは、食べ過ぎには注意し、サラダやスムージー、ヨーグルトなど便秘解消に効く食べ物や飲み物をプラスするようにしましょう。

 

便秘の原因となり得る飲み物

 

【カフェインを含む飲み物】

カフェインには利尿作用があるため、カフェインを含む飲み物を摂りすぎると尿として水分が排出されてしまい、腸内の水分量が減ってしまう可能性があります。

緑茶や紅茶、コーヒー、エナジードリンクなど、カフェインを含む飲み物は飲みすぎないように気をつけましょう。

お茶を飲みたいときは、麦茶やハーブティー、ルイボスティーなど、ノンカフェインのものを選ぶのがおすすめです。

 

【タンニンを含む飲み物】

コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、ワインなどに含まれるタンニンは、便を硬くする作用があります。

便秘のときにタンニンを含む飲み物を飲みすぎると、便秘が悪化する可能性があるので注意しましょう。

 

食事や食べ物以外で便秘を解消に導く方法

食生活の見直しや便秘解消に効く食べ物や飲み物を取り入れる他にも、手軽にできる便秘解消法があります。

ここでは、日常生活の中でできる便秘を解消に導く方法を5つ紹介します。

 

便秘解消に効果的なツボを押してみる

便秘を解消したいときは、ツボを押して便意を促してみましょう。

便秘解消に効果的なツボの種類や押し方は以下の通りです。

 

【手にあるツボ】

<合谷(ごうこく)>

手の甲の親指と人差し指の付け根の骨が交わっている位置にあります。

反対の手の親指と人差し指で挟んで押しましょう。

 

<神門(しんもん)>

手首の内側の関節部分で、小指側の少し窪んだ位置にあります。

親指を立てるかペンを使い、グリグリと押しましょう。

 

【足にあるツボ】

<三陰交(さんいんこう)>

内くるぶしの骨から指4本分上の位置にあります。

親指を立てて、くぼみに押し当てましょう。

 

<足三里(あしのさんり)>

膝の皿の下の窪みから指4本分下で、むこうずね側にずらした位置にあります。

親指や中指で揉みほぐすように押しましょう。

 

【お腹にあるツボ】

<天枢(てんすう)>

おへそから指3本分離れた位置にあります。

左右どちらにもあるため、両手の指で同時に軽く押しましょう。

 

<大巨(だいこ)>

天枢から指3本分下の位置にあります。

左右どちらにもあるため、両手の指で軽く押しましょう。

 

【背中にあるツボ】

<便秘点(べんぴてん)>

肋骨の指2本分下、さらに背骨から指4本分外側の位置にあります。

左右どちらにもあるため、腰に手を置いて両手の親指で押しましょう。

 

<大腸兪(だいちょうゆ)>

腰骨の高さで、背骨から指2本分外側の位置にあります。

左右どちらにもあるため、腰に手を置いて両手の親指で押しましょう。

 

ツボ押しをする際は強く押さず、気持ちいいと感じる程度の力でゆっくりと押すのがポイントです。

1回6秒程度を目安にして、長時間やりすぎないようにしましょう。

また、以下の場合はツボ押しを控えることをおすすめします。

飲酒後、食事前後、満腹時、体調が悪いとき、怪我や痛みがあるとき、高血圧、妊娠中や産後

 

とにかく身体を温める

お腹や腰回りを温めると、腸のぜん動運動が促されて便秘解消の効果が期待できます。

湯たんぽや蒸しタオル、温熱シートなどを使い、火傷に注意して継続的に身体を温めてみましょう。

普段湯船に浸かる習慣のない人は、シャワーではなく湯船で身体を温めることもおすすめです。

 

便意を感じたらすぐにトイレへ行く習慣をつける

便意を我慢すると便が直腸付近に留まり、固まって便秘が慢性化してしまう場合があります。

また、出したいときに出さないと排便反射が鈍くなり、便意を感じにくくなることもあるので注意が必要です。

便意を感じたら、すぐにトイレへ行く習慣をつけましょう。

 

無理なダイエットや食事制限を控える

無理なダイエットや食事制限によって食事量が減ると、水分や栄養が不足したり便量が少なくなったりして便秘を招く原因になります。

また、無理なダイエットによりストレスにさらされると、自律神経が乱れて便秘を引き起こすこともあります。

無理なダイエットや食事制限は控えて、適度な運動や栄養バランスのとれた食事で健康的な体を目指すようにしましょう。

 

市販薬を取り入れてみる

便秘に効く食べ物や飲み物、日常的にできる便秘解消方法を試しても便秘が良くならない場合は、市販薬に頼るのもひとつの方法です。

しかし、即効性を求めて刺激性の強い便秘薬を乱用すると、かえって便秘症状を悪化させたり、慢性化させたりする恐れもあります。

なので、まずは胃腸薬や整腸薬など刺激が少ないものから試してみることがおすすめです。

胃腸薬や整腸薬は腸内環境を整える効果が期待できるので、便秘を根本から改善に導くことができます。

胃を直接刺激せず便に作用して排便を促すので、お腹が痛くなりにくいのも特徴です。

 

まとめ

便秘になっているときは腸内環境が乱れている状態です。

そのため、便秘解消に効く食べ物や飲み物を取り入れ、便秘を悪化させる可能性がある食べ物や飲み物は控えることが大切です。

また、ストレスや不規則な生活による自律神経の乱れ、運動不足による腸の働きや筋力の低下が便秘の原因になることもあります。

規則正しい生活を心がける、適度に運動をする、ストレスを減らすといったことを心がけると、便秘を解消しやすくなるでしょう。

食生活や生活習慣が原因で起こる便秘は「機能性便秘」と呼ばれ、日常生活での対策で改善させることが可能です。

ただし、潰瘍で腸管が狭くなってしまうことによって物理的な障害が起き、便が通りにくくなって起こる病気が原因で便秘になっている場合は「器質性便秘」と呼ばれ、病院での受診が必要です。

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気になる症状がある、日常生活で対策をしても症状が改善しないという場合は、早めに医師に相談しましょう。