胃酸過多とはどんな症状?原因や改善に導く自己対処方法を詳しく解説!

胃もたれやお腹のハリなどの症状があるときは、胃酸過多が原因かもしれません。

「胃酸過多」は胃酸の分泌が多くなっている状態のことです。

胃酸が多くなると胃への負担が大きくなり、さまざまな症状が現れやすくなります。

今回は胃酸過多の症状や原因、改善に導く自己対処方法について詳しく解説します。

 

胃酸過多の症状とは?

はじめに、胃酸分泌の仕組みと症状、胃酸過多によって引き起こされる可能性のある病気を確認してみましょう。

 

胃酸分泌の仕組み

胃酸は、食べ物の味や香りを感じたときや食べ物が胃に入ってきたときなど、脳や胃が刺激を受けることにより分泌されます。

刺激によって放出された神経伝達物質の指令を受けて、胃酸を細胞内から胃の中へ輸送する膜タンパク質(プロトンポンプ)が作用することで胃粘膜から胃酸が分泌されるのです。

胃は食道から送られてきた食べ物を一時的に蓄え、胃液やぜん動運動によって食べ物を消化して少しずつ十二指腸へと送り出す役割があります。

 

胃酸は胃液に含まれる主成分のひとつです。

胃酸には食べ物を消化したり食べ物と一緒に入ってきた菌を殺菌したりする働きがある一方で、酸性度が強いことから胃にダメージを与える攻撃因子でもあります。

そのため、胃酸が分泌されるときはネバネバとした粘液も分泌され、この粘液で胃粘膜の表面を覆うことで胃は胃酸から守られています。

しかし、何らかの原因で胃酸過多になると胃酸と粘液のバランスが乱れ、胃粘膜がダメージを受けてさまざまな不調が起こりやすくなります

胃酸の過剰分泌によって起こる症状は胃酸過多症と呼ばれており、初期段階では胃もたれやお腹のハリといった症状が現れることが多いです。

 

胃酸過多によって逆流性食道炎や食道がんになる可能性

胃酸過多になると、胃酸が食道に逆流することがあります。

胃と比べて食道は胃酸に対する防御機能が弱いため、胃酸の逆流が続くと炎症が起きて逆流性食道炎を引き起こしやすいです。

また、食事の直後など、胃酸が多い状態で横になると、胃の内容物が食道中に流れ込みやすくなり、逆流性食道炎のリスクが高まります。

近年、逆流性食道炎は増加傾向にあり、発症すると以下のような症状が現れます。

【逆流性食道炎の代表的な症状】
胃もたれ・お腹のハリ・胸やけ・げっぷ・喉に酸っぱいものや苦いものが上がってくる・吐き気・喉の痛み・喉の違和感など

前述したように、胃酸の逆流によって食道粘膜がただれ、これが治癒する過程で食道の粘膜の組織が胃の粘膜の組織のように変性する「バレット食道」になることもあります。

バレット食道は「食道腺がん」という食道がんのリスクを高めるといわれているので注意が必要です。

また、逆流性食道炎と似た症状が現れる病気で、ピロリ菌感染による慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんなどもあります。

胃の痛みや吐き気、胸やけなどの症状があるときはさまざまな病気の可能性が考えられるため、早めに内科または消化器内科にて医師に相談しましょう。

 

胃酸過多になる原因

胃酸過多は、日々の食事や生活習慣が影響して起こることがあります。

胃酸過多になる代表的な原因を確認してみましょう。

 

ストレスを溜め込んでいる

胃酸過多の原因として挙げられるのは、ストレスによる自律神経の乱れです。

胃の働きは自律神経によってコントロールされており、自律神経が乱れると胃酸の過剰分泌を招くことがあります。

また、自律神経の乱れは粘液を減少させる原因にもなるため、ストレスを溜め込んでいると胃酸と粘液のバランスが乱れて胃の不調を感じやすくなります。

 

アルコールや刺激物を摂取した

アルコールは胃酸を分泌させる作用があります。

そのため、飲みすぎると胃酸の分泌が過剰になるため、胃の不調を感じやすくなるのです。

また、直接胃の粘膜を刺激して胃粘膜障害を起こしたり、下部食道括約筋(食道と胃の境目にある筋肉)や食道のぜん動運動の機能を低下させて逆流性食道炎を引き起こしたりする場合もあります。

香辛料が多いものやカフェインが多いものなどの刺激物も、胃酸の分泌を増やす原因のひとつです。

刺激物を摂り過ぎると胃粘膜が刺激されて、胃痛などの症状が起こりやすくなります。

 

食べすぎ飲みすぎ

食べすぎたり飲みすぎたりすると、消化を促そうとして胃酸が過剰に分泌されます。

とくに食事の量が多いと、それを消化するために時間が多く掛かり、その間胃酸が出続けることで、結果として胃酸過多な状態になりやすくなります

食べ物が胃の中に長くとどまると胃の負担が大きくなり、胃もたれやお腹のハリなどの症状も現れやすくなるので注意が必要です。

 

胃酸過多を抑えるには?改善に導く自己対処方法

胃酸過多があるときは、食事や生活習慣を見直すことで改善が期待できます。

胃酸過多を抑えて改善に導く自己対処方法を確認してみましょう。

 

ストレスを溜めない生活を心がける

ストレスが原因で胃酸過多が起きている場合、ストレスを溜めない生活を心がけましょう。

少しでもストレスを感じたら、リラックスして自分の好きなことをする時間を作るのがおすすめです。

 

ストレス解消には以下のような方法があります。

  • 友達と会って話を聞いてもらう
  • ゆっくりお風呂に浸かる
  • カラオケで思いっきり歌う
  • 読書や映画鑑賞をする
  • 軽い有酸素運動を行う(ウォーキングやジョギングなど)

また、仕事中にストレスを感じたときは、ストレッチをしたり深呼吸をしたりすると気分転換になります。

自分に合う方法で適度にストレスを解消しましょう。

 

生活リズム整える

胃酸過多の改善には、胃の働きをコントロールする自律神経を整えるのがポイントです。

自律神経は昼間や活動時に優位になる交感神経と、夜間やリラックス時に優位になる副交感神経があります。

夜ふかしや昼夜逆転の生活は自律神経の乱れにつながるので、昼間は活発に動いて夕方以降はリラックスして過ごすようにしましょう。

できるだけ同じ時間に起床・食事・就寝するように心がけて、意識的に生活リズムを整えることが大切です。

 

過剰なアルコールや刺激物を控える

アルコールや刺激物を摂りすぎないことも、胃酸過多への効果的な対処法です。

以下のような飲食物は胃を刺激して胃酸を増やす原因となるので、できるだけ控えるようにしましょう。

  • アルコール飲料
  • 炭酸飲料
  • カフェインの多い飲み物(コーヒー・緑茶など)
  • 香辛料を含む食品(唐辛子・からし・わさびなど)
  • 酸味の強い食品(レモン・梅干しなど)
  • 味の濃い食品(チョコレート・漬物など)

 

食べすぎ飲みすぎに気をつけて消化に良い食べ物を摂取する

食べる量や飲む量が多いと胃にとどまる時間が長くなって負担が大きくなるため、胃酸過多を抑えるには腹八分目を心がけることも重要なポイントとなります。

茹でたり煮たりして食材が柔らかくなっているものや小さく切ってあるもの、薄味のものは、胃への負担が少なく消化しやすいのでおすすめです。

【消化の良い食べ物】
穀類やわらかめのご飯・粥・雑炊・うどんなど
半熟卵・茶碗蒸し・卵豆腐など
魚介類ひらめ・かれい・たらなど
肉類豚ひれ肉・鶏ささみ肉・鶏むね肉など
豆類豆腐・高野豆腐など
野菜・イモ類ほうれん草・大根・にんじん・じゃがいも・山芋など
果物バナナ・りんご・桃・果物缶詰など
乳製品ヨーグルト・チーズなど

また、乳酸菌の中には過剰になった胃酸の分泌を適正化する働きや、食後の胃の負担を和らげる働きを持っているものもあるといわれています。

消化不良による下痢が起きている場合は、乳酸菌の整腸作用によって改善が期待できます。

そのため、食べすぎ・飲みすぎによる胃腸の不調を感じたときは、乳酸菌入りのヨーグルトやサプリなどを使ってみるのも良いでしょう。

 

食べすぎてしまった時は胃腸薬に頼るのも方法のひとつ

前述したように、胃酸過多の症状を感じたときは食べすぎを防ぐのが望ましいですが、付き合いなどで毎日気をつける事は難しいのではないでしょうか。

そんなときは、胃腸薬を頼るというのもひとつの方法です。

そのため、胃腸薬を選ぶ際は、ビタミンやミネラルの補給もできる商品がおすすめです。

ビタミンは神経を落ち着かせ、脳細胞を活性化させる役割が期待でき、ミネラルは筋肉や神経内でさまざまな生理機能を調整する役割があります。

他にも栄養補給が期待できる商品であれば、胃酸過多の症状を改善へと導いてくれるでしょう。

まとめ

胃酸は食べ物の消化促進作用や菌を殺菌する作用がある一方で、胃にダメージを与える攻撃因子でもあります。

胃酸過多の症状を感じた時は、早めに内科または消化器内科にて医師に相談しましょう。

また、胃酸過多とならないよう、普段の生活を見直すことも大切です。

ストレスを溜めず、規則正しい生活を心がけたり、過剰なアルコールや刺激物、食べすぎ飲みすぎに気をつけたりするなどできることから始めてみてはいかがでしょうか。