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編集部が気になるあの人に突撃インタビュー

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女性が生きやすい世界を求めて20年。「一人でやる」より「みんなで達成」!

20代から女性が心地よく生きられるための商品開発や事業を手がけてきた山田奈央子さん。幼少時代を過ごしたサウジアラビアでの原体験から、二人の息子さんを育てる母として気づいたこと、マネジメントの大切さまでお話いただきます。

TODAY'sGUEST

山田 奈央子さん

山田 奈央子さん

大手下着メーカーを経て、下着コンシェルジュとして独立。女性の健康と美に寄り添うものづくりを目指し、株式会社シルキースタイルを起業。2021年には一般社団法人日本フェムテック協会を立ち上げる。小学4年生と2年生の息子さんとの4人家族。

自分に嘘はつけないと起業するも、1年後にピンチ到来!?

大手下着メーカーに入社後、26歳で起業されました。当時を振り返るといかがですか?

新卒で入社しすぐに開発を担当し、一人でブランド事業部を立ち上げるなど、すごく濃くて充実した時間でしたね。同時に、大きな会社組織ではできないことがあると実感した4年間でもありました。

すでに起業している女性の先輩や学生起業した友人を見て、自分らしく生きるって素敵だなと思っていたのと、「ま、うまくいかなくてもやり直せるし!」と前しか向いてなかったですね。

45歳になった今は、「大きな会社でまだ学べたこともあったんじゃ…?」なんて考えたりもしますが、自分の気持ちに正直に行動したのは、ベストな選択だったと思います。やっぱり自分の気持ちには嘘はつけませんから。ただ、恐ろしいことにお金も人脈も危機管理もなく、よくやったなぁと。

起業1年目には、商品の製造を依頼していた取引先が倒産し、社長は夜逃げ。「支払ったお金を返してもらうか、商品を出してもらわないと、うちが潰れてしまう!」と、社長を追いかけて、なんとか商品を作る製法を聞き出し、他社に頼んで切り抜けたなんてこともありました。もう必死でした、生きるのに(笑)。

起業当時

おお〜。そんなピンチを切り抜けながら、ご自身がこだわってきたテーマは?

女性のお悩みを解決したり、女性の生き方を応援するものづくりです。女性がいくつになっても自分のキャリアや美しさ、そして健康を維持できるようなお手伝いをしたいという気持ちは20代からずっと変わっていません。

海外に行くと、女性は自分を美しく見せることや、アピールすることがすごく上手ですよね。私自身10代は、日本人特有の扁平な体型がいやで、コンプレックスのかたまりだったんです。でも素敵な下着に出会い、体を変えることはできないけど、下着で自分のコンプレックスはいくらでも変えられると気づいたことが始まりでした。

幼少期の原体験。「女子だから」と言わないで

海外生活のご経験も、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

小学校に上がるまで、サウジアラビアで生活していたんです。サウジアラビアは一夫多妻制で、女性は男性に養ってもらう立場。女性は皆、アバヤ*をかぶって目の部分しか出していないんですが、アイメイクと下着のおしゃれだけはすごく頑張るんです。同時に、自分の意志では勉強ができないなど、我慢している女性が多いということを肌で感じていました。

私自身は、黄色人種ということで、私と中国人の女の子がプールに入ったときに「水が汚れるから出ろ」と言われたことを鮮明に覚えています。人種や性別じゃないところでちゃんと評価してほしいと思った原体験ですよね。

帰国した後、一番言われるのが嫌いだった言葉は、「女子だから」。母は、「これからの女性は、しっかりとやりたいことを見つけて、自分らしく生きていかなくてはいけないよ。キャリアを積んで、社会で戦えるようになりなさい」とつねづね言ってくれました。たぶん母自身も、海外生活で辛い思いをしていたことの裏返しだと思います。


アバヤ*……長袖で、足首までの長さがあり、腕や足すべてが隠せる薄いコートのような黒い羽織物。サウジアラビアの女性は家から一歩外に出るには、必ず着なければならない。

家でも会社でも「一人でやる」より「みんなで達成」

この20年、女性をとりまく社会の環境は変わったと感じますか?

当時、私が入社したメーカーでは総合職の女性が1割だったと聞いています。私の同期はもう少し多かったのですが、まだまだ少ない時代です。今は管理職や役員にも女性が増え、経営やものづくりに女性の力が生かされる時代になってきたのは、すごい変化だと感じます。

ずっと私たちがやってきた仕事は、「フェムテック」、「フェムケア」でした。ようやく女性が活躍する社会になり、こんなにも必要なテーマになるとは20年前には想像していませんでした。ここまで来たかと思うと感慨深いですね。

男性の家庭進出も進んできてはいますが、まだまだ女性にとって家庭と仕事の両立は大きなテーマになっています。会社を経営しながらの結婚生活、そして妊娠・出産はいかがでしたか?

結婚後は、私が仕事に夢中でぜんぜん家に帰らないので、夫が「もう家出する!」なんてこともありましたね(笑)。

私は、会社の経営をしながら自ら仕事をとってくるプレイヤーでもあったので、妊娠した時は大きなターニングポイントになりました。それまでは、すべて自分がやらないと回らないと思っていたんですが、「周りに任せていこう」「マネジメントをちゃんとしよう」と決めました。

出産後は、家でも家事を“プロジェクト”にすることで発見がありました。長男が3歳の頃、目玉焼きを作らせてみたら、ちゃんとできたんですよ! それから「ママはお仕事があるんだよ。だから一緒にゴミを捨てに行こうか」「お皿も一緒に洗ってみようか」と、いろんな家事をプロジェクトとしてやってきたおかげか、小学4年生と2年生の息子二人は、ひと通りのことができるようになっています。

息子さんと一緒にクッキング

チャレンジする機会があったら、しっかり成長していくのは会社でも同じ。社員にはそれぞれ好きなことをやってもらいながら、少しずつ任せていく。みんな、予想を超えてできるようになっていきます。自分一人で成し遂げるより、みんなを巻き込み、みんなと一緒に達成していくことが、生きていく上で大事な術なんだなと感じています。

女性こそ管理職に向いている理由

これから社会で活躍する女性に伝えたいことは?

自分がやりたいことは何かを考えて、それに忠実に向き合うことだと思います。それ以外は、まわりに助けてもらうこと。今は、結婚はしたくない、子どももいらないという若い女性も多いですが、女性こそ人を育てる管理職は向いているはずなんですよ。お母さんって、家庭をマネジメントしていますから。キャリアを築きながら子育てもする。その両方をすることは、すごく女性に向いているし、何より人生が豊かになるとわかってもらいたいですね。

人生は思い通りにいかないし、うまくいくことなんて少ない。でも何があってもそれを受け入れて、その時にベストな方法を探っていく生き方は、柔軟性のある女性だからこそできることだと思うんです。家庭でも会社でも、もし何かあってもチームで回るように備えておく。そうすれば、何があっても、もう人生終わりだ!なんて思わないですから。

編集後記

家庭でも会社でも、周りを巻き込む“プロジェクト化”はとても参考になりますね。後編では、山田さんが直面した婦人科系の疾患から、ヘルスリテラシー(健康に関する情報を探したり、活用したりする能力)と〝自分と向き合う時間〟の大切さについてお伺いします。

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